音源ライブラリを特集しよう

きっかけ

歌声合成の音源ライブラリと関連動画を紹介・解説するような特集を始めたい。

というのも。

ボカロクリティーク界隈で各論・作品論がすくないよねー

http://d.hatena.ne.jp/ja_bra_af_cu/20110917/1316238936

という話題からid:ja_bra_af_cu氏が始め、私が知る限りではid:sakstyle氏が続き*1、私も真似してやってみた*2作品レビュー。これらの試みは楽曲という切り口からボカロ文化を、あるいは自分自身の音楽を見つめ直す良い機会になっている。布教としても、批評の材料としても*3、楽曲について語る人が増えたらいいなと思う。

このような各論的紹介ブログ記事として、読んでみたいジャンルが他にもあった。

ひとつがアーティスト論、もうひとつが音源ライブラリ論。
まあどちらも雑誌等で行われているかもしれないが、先の作品レビューなんかと同じで、主観的な意見や紹介文を読みたいのだ。酷く偏っていてもいい。むしろ偏った記事が。

歌声合成の音源ライブラリ

昨今の歌声合成界隈においては音源ライブラリ(の集合)=キャラクターという紐付けが強いので、音源ライブラリ紹介=キャラクター紹介といっても良いだろう。音源ライブラリの個性が独立にこんなにも広く扱われるというのは、ボカロ文化特有の現象だ。普通なら「あの会社のあのソフト音源シリーズは云々」なんて話は音楽制作者同士でしか出てこないが、歌声合成の音源ライブラリの話題は、パッケージの柔軟性とキャラ付けによって非常に間口が広い。多分、キャラ付けの無い「ボーカルシンセ」としてでは起きなかった現象だろうと思う。

歌声合成の音源ライブラリは、VOCALOID、非VOCALOIDを含めると何千とあるといわれる(一番多いのはUTAU向けだろう)。ライブラリに紐づくキャラクターも同じオーダーで存在すると思われる。こうまでなると、世の中、知らない音源のほうが多い。仮に名前は知っていても曲は聴いたことがないとか、特徴はあまり知らないとかいうものも多い。

このような状況だと、作品レビューと同じくらい、音源紹介をすることに意味があるのではないか、と考えた。

惜しまれるマイナー性

以前、ある人に「UTAUの楽曲を聴いてみたいんだけど、どの音源(キャラ)の曲から聴いていけばいいのか。探してとりあえず聴いてみてもその音源がどういうものかわからないし、話題も共有しづらいので、ハードルが高い」というようなことを言われて答えに窮したことがある。その時は「音源に依存して曲を探すのは諦めてはどうか。自由に楽曲単独で楽しめばいいよ。」という返答をしたのだが、どうもそれは実感的な解答ではないように思える。それがずっと気になっていた。

私は「UTAU」タグ検索から網羅的に楽曲を探すことも多い。なので上記のような返答が出てきたのだが、やはり、お気に入りの音源ライブラリやキャラクターというがあって、それはそれで別途特別に追っていたりする。特定のアーティストを追いかけるのと同じ感覚である。と、すればやはり音源に依存して楽曲を楽しんでいるわけで、先ほどの自分の返答とは矛盾してしまう。

楽曲の楽しみ方に音源依存性(キャラ依存性*4)が強いボカロ文化。そこで問題になるのは、音源の知名度だ。知名度、認知度の低い音源の話題はどうしてもマニアックになってしまい、情報流通の輪が閉じがちだ。初音ミクめぐっぽいどのようなVOCALOID音源は、全体として自己発展的に自然と情報が流通するレベルに達しており、放っておいても情報が耳に入ってくるようになってきた。最近はUTAUやSinsyなどの非VOCALOID音源も広く知られるようになってきた*5が、非VOCALOID音源の中には「知る人ぞ知る音源」や「そこそこ狭い界隈でのみ人気の音源」がまだまだ沢山あるのだ。

「いい曲だと思うんだけど、あまり伸びない…」という悩みがUTAU界隈ではよくある。聴き手の母数の問題だろう、音源の知名度が低いほどそうなりやすい*6。経験的には、VOCALOIDとUTAUでは再生数がおよそ1桁違う。そして音源の数は2桁違う。多くない聴き手が更に分散している状態なのだ。

結論

こういうときは布教活動だ。と私の短絡的思考は結論づけた。

UTAU界隈でお互いの好きな楽曲やライブラリを語り合うためにも、UTAUに興味はあるけどよくわからない人を引き入れる為にも、はたまたUTAUってなに?って人を引きずり込むためにも、さあみんな好きなもの語りをしようよ!という帰結である。

楽曲レビューと同じで、任意の視点からで良いと思う。例えば私は、音源ライブラリ紹介と銘打つくせに、音源の調教をする制作者的視点にたったレビューは出来ない。知らない楽曲もたくさんあるし、ほとんど視聴しない動画ジャンルもたくさんある。「ここすき」レベルでぐだぐだ何か書いてみればいいんじゃないの、という気軽なノリでやる。細かいことは後で考える。

というわけで言い出しっぺとしてやるべきことはやらねばならない。…実はもう1つ特集記事を8割方書いてあるのだけど、時間的制約と、この記事を前もって投下しておきたいという理由から、保留してある。明日あたりにポストしたい。

*1:【初音ミク】 Just route!! 【オリジナル曲】/【初音ミク】Animistic Prayer【オリジナル】 - logical cypher scape2

*2:【巡音ルカ】 地雷原夜道 【オリジナル】 - 煩悩の反応学

*3:まぁレビュー即ち批評という見方も出来るかもしれないが

*4:ここまで書いて気づいたけど、この記事では「キャラ」と「キャラクター」はなんら区別していない。適当に使っている。

*5:重音テトはDIVA 2ndにモジュールが追加されたし、雑誌でオリジナル音源が作られるようにもなったし、企業が広報で音源を作ったり

*6:まぁ根本的にVOCALOIDとUTAUには色々と大きな違いはあるのだが