FolkMetalM@ster動画紹介(1)

BABYMETALのようなメタル風アイドルユニットが現れたり、ももいろクローバーZの新譜「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」がやたらメタリックだったりと、三次元アイドルとラウドミュージックの親和性が見い出されつつある昨今。一方、二次元アイドルの世界では、割と古くからニコニコ動画においてメタル楽曲とコラボしたアイドルマスター動画が投稿されてきた。「metalm@ster」なんて呼ばれる。

metalm@ster - ニコ百 http://dic.nicovideo.jp/id/4423888

metalm@sterタグつきの動画は最近だとひと月あたり5〜6動画程度。ニコマスの中ではかなり細々とした界隈だけども、今回はその中でも更にマイナーな「フォークメタルを使ったアイマス動画」を紹介しようと思う。

フォークメタルっていうのは、民族音楽性を取り入れたヘヴィメタルのこと。北欧のヴァイキング文化をコンセプトにしたヴァイキングメタルや、ペイガニズムをコンセプトにしたペイガンメタルなんてのもフォークメタルで一括りにすることが多い。サブジャンルについては色々と議論があるが、ここでは属性やタグのような気軽なもんだと考えておこう。
フォークメタルバンドというと、例えばニコニコではKorpiklaaniが(奇抜なPVやら変な邦題で)有名だ。コルピっていうと知ってる人は多いんじゃないかな。

さてフォークメタルを使ったmetalm@sterなのでFolkMetalM@sterなんてタイトルを付けてみたが、動画ジャンルとしてはマイナーもマイナー、ドマイナーである。なんせ紹介出来る動画が現時点で8つしかない。考えてみれば「勇猛な漢たちの戦いを歌いあげるヴァイキングメタル」みたいのがアイドルと親和性が高いとはまぁ思えない。そもそもフォークメタルにもアイマスにも関心がある人なんてどれだけいるのか。ニッチにもほどがある。

しかし「民族音楽」×「アイドル」という視点で見ればわりと需要があるのではなかろうか。基本的に完全に誰得(いや俺得なんだけど)ジャンルだけれども、民族音楽アイマスに興味を持っている人がフォークメタルに触れる機会としてはアリではないだろうか。いや、つまり、友達増やしたい。


そういうわけで今回はまず3動画ほど紹介しよう。ちなみに紹介する動画はすべてマイリストで公開しておいたので、紹介文なんてどうでもいいから動画を見せろという人はそちらからどうぞ。なお、なんだか漏れがあるような気がするので、これも入れて良いはずだというツッコミは大歓迎。

FolkMetalM@ster - magelixirのマイリスト http://www.nicovideo.jp/mylist/31779936

人間椅子が入っている理由については次回)

【NFJ3CM単品】 VODKA 【KORPIKLAANI

94Pによる作品。
ニコマスフォークジャンボリーという「フォーク」をテーマにしたニコマス企画があるのだけど、第3回はなんと「フォークメタル」もありだった。それのCMの中で使われた動画。ちなみに同企画にフォークメタルで参戦したのは私が知る限りもう1動画しかないw

使用曲は先ほども触れたKorpiklaaniの6thアルバムに収録されたVodka。「ウォッカはなんて素晴らしい飲み物なんだ!」とひたすら歌っている歌。酔いどれ系メタルとしては非常にわかりやすく陽気で楽しげなので、他にもMADや弾いてみた歌ってみたが多い人気曲だ。Korpiklaaniというとどうしてもネタ扱いされがちだが、やっていることはガチである。むかーしはマイナー言語であるサーミ語を使用したりしてたし、Voのヨンネは伝統的発声法であるヨイクの使い手だったりする。(なおサーミ語やヨイクに興味がある人はFintrollというバンドのJaktens Tidというアルバムを聴いてみると良い)

さて、動画面。といっても毛皮系衣装でコルピ感を出していること、スクリーンが汚れた感じのエフェクトがついてるくらいであとは普通のPV風動画だ。個人的にはりっちゃんとフォークメタルという組みあわせは予想外だったので、いきなりキリっとしたりっちゃんから始まるのはインパクトが大きかった。いやぁアリだね。

Heimwärts(acoustic) 【ボサカサ民族音楽祭り】

戦前Pによる作品。
戦前Pはかなりの頻度で多数のPV風動画を投稿してるが、民族音楽を採用することが多く、民族音楽×アイマスという話をするならばはずせない存在。

これはボサカサ民族音楽祭りという、ボサノバ・カサノバ民族音楽(アレンジあり)を使ったニコマス企画の参戦作品なようだが、使用曲はドイツのヴァイキングメタルバンドであるEquilibriumの3rdアルバムについてきたアコースティックアレンジミニアルバムに収録されている曲。原曲は2ndアルバムに収録(原曲:http://www.youtube.com/watch?v=mipMJs6S4-A)。歌詞はドイツ語なのでよくわかってないがインストアレンジだからよいだろう(何

Equilibriumの曲はシンフォニックでキャッチーでクッサクサ…と日本人受けする要素盛りだくさんで、その他逸話も併せ、ヴァイキングデスメタルというジャンルとしては異例というほど売れまくっている(特に2ndアルバム)。普段はヴァイキングメタルを聴かない人達もEquilibriumなら知っているという人は多いかもしれない。実際聴きやすい部類なので、ヴァイキングメタル入門編としておすすめ。

さてさて動画のほうは響が実にダンサブル(笑)。まぁ曲に合っているかというと微妙なところだけど、初めて見たときは響とドイツの親和性について30分くらい色々考えこんだ。まぁEquilibriumで響を起用した動画はもう1つあるので、詳しくはその時に(次回予定)。

スカイクラッドの踊り子【第3回ニコマスフォークジャンボリー

UKCPによる作品。
先ほど触れた第3回ニコマスフォークジャンボリーにおいて唯一といっていい、フォークメタルでの参戦作品。

まず選曲が素晴らしい。曲はSkycladの2ndアルバムに収録されたSpinning Jennyという曲。Skycladはイギリスのかなり古参のフォークメタルバンド(というかこのジャンルの源流といってよい)で、この曲が収録されたアルバム「A Burnt Offering For The Bone Idol」はなんと1992年発売である。1992年というとこのフォークメタル的にはものすごく古い。というかメタルの歴史をふりかえっても、例えばMetallicaのブラックアルバムが発売されたのが1991年、とかそのくらいの時期だ。

一聴していただければわかるが、メタルバンドにリード・フィドルを取り入れた編成で、こんな早い時期からかなりガチなフォークメタルをやっている。フィドルやギターのリフの作り込みも素晴らしいし、音質的にも2012年現在の水準で聴いてすごくクオリティが高い。実はこの動画を知るまでそんなに真面目にSkycladを追ってなかったのだけど一気にはまってしまった。

さてさて動画。まず色使いとエフェクトにびっくりするが、やよいおりでスローテンポ曲…と、なんか一見相性が悪いような組みあわせなのに醸し出される謎の貫禄。個人的にはこのエフェクトの使い方とPV構成はかなり気に入っている。



以上、まずは3動画のご紹介。
アイマス動画の紹介っていうよりも使われている曲の紹介がメインになってしまったけど、動画についてはあまり詳しいことが言えないのでどうしても偏ってしまう。まぁこれだけニッチなところだと、曲との組みあわせそれ自体が目を引く材料になってしまうので仕方ないのかもしれない。

残りについては様子をみつつ後日パート2で紹介する予定。
これを機にフォークメタル、あるいはメタル、あるいは民族音楽、…あるいはアイマスに興味を持ってくれる人が一人でもいたら嬉しい。